糸から開発。オリジナルの日本製の良品を販売しています。 We develop textile products from raw materials.

2019/07/02 10:36

新たに開発した新素材で作りあげたラミーコットン ストールについて、その魅力と開発ストーリーを順を追って書いていきたいと思います。




こころばせラミーコットン ストールこれからの季節の必需品です。

 ・サラッとしたラミー(麻)とコットンの風合いが肌に心地よい
 ・キツすぎる冷房から身体をやさしく守る
 ・夏の陽射しをマイルドに遮る
 ・洗濯ネットに入れて家庭洗濯できる
 ・ラミーコットン素材のそこはかとない光沢感が上品

こんなラミーコットンストールをぜひご使用いただきたいです!

もちろん商品の魅力と機能によってお客様に喜んでいただくことが第一の目的ですが、同時に日本製の良品を作り出していいきたいとの思いもあります。

次章では今回のストール作成プロジェクトについてご紹介します。



 今回ストールを制作した八王子は400年余の歴史を有する織物の産地で高い技術力は今でも健在です。でも、他産業と同様に安い中国製をはじめとした輸入品に追いやられ衰退の一途です。八王子織物の技術力を十分に活かして、いいものを世に出したい!と思いストール制作プロジェクトを発案しました。

 八王子の機屋さんの技術力に頼るだけではいいもの、新しいものは作れません。そこで、こころばせが開発した特殊紡績の新素材ラミーコットン糸を使って、八王子織物工業の技術力の高さをアピールしたいと考えたのでした。

 八王子の織物技術に頼るだけではないモノ作りのフローを「全日本繊維産業協業プロジェクト」と銘打ち、次章で紹介する流れで開発を進めていきました。



 ころばせでは従来より、繊維専門商社のネットワークも活用しながら日本全国の繊維産業の力を結集したモノつくりを推進してきました。今回のラミーコットン ストール生産では次のフローでモノ作りを行いました。

 八王子:こころばせで素材開発の発案、商品企画

 新潟県:ラミーコットン糸の紡績

 大阪府:糸の毛羽を取る加工(ガス糸)

 八王子:ストール製作を澤井織物有限会社

このフローの中で、今回の主役はもちろん伝統ある八王子織物工業の雄である澤井織物有限会社さんです。







澤井織物の澤井社長が織機を稼働させているところです。

 今回のラミーコットンストールもこのシャトル織機と呼ばれる旧式の機械で生産しました。生地を傷めず豊かな風合いを実現してくれます。

 こころばせの事務所のある八王子は古くから養蚕と絹織物が盛んでその歴史は400年余となる歴史を有しています。今は全盛期と比較すれば織機も激減していまが、この状況下でもやさしい風合いで織り上がる古いシャトル織機を使いながら、最新のウェアラブルデバイスを開発するGoogleに技術提供する等、最新のイノベーションに関与し続けているのが澤井織物有限会社の澤井社長です。澤井さんは繊維織物の伝統工芸士でもあり、織物のプロフェッショナルなんです。



1)まず織ってみる
 まず試作でほんの少し、糸を染めずに織ってみました。そうするとタオルでは欠点にはならなかった糸表面の毛羽が気になりました。そこで、糸表面の毛羽を焼き飛ばすことにしました。

2)ガス糸
 ここは私の出番。大阪府の糸加工場で糸表面の毛羽を焼く機械にラミーコットン糸を送りました。炎の中を糸を高速でくぐらせることで、糸の毛羽を焼いて取り除くのです。この工程を経た糸をガス糸と呼びます。

こうしてガス焼きした糸は下の写真のように糸表面の毛羽が無くなります。この写真からもガス糸のおかげでラミーコットンストールがサラッとした風合いになっていることを実感したいただけると思います。

※この画像は豊田絲業株式会社様のサイトよりお借りいたしました。

3)少量糸染め、製織

 作ったガス糸が約20kg。ストールにすると80枚ほど。今回は数量での限定生産としました。この糸を染色工場で今回の黒、赤、オレンジ、ブルーの4色に染め分けをお願いしました。そして澤井織物さんで製織。通常ここまでの小ロットを受け付けてくださるところは少ないのですが、澤井社長はこころよく引き受けてくださいました。

4)完成

 ハリがあってナチュラルな光沢もあるラミーコットンストールが完成しました。完成まで一年半余りの長い道のりでしたが、八王子織物の技術力とラミーコットンの素材の良さがマッチした素晴らしいストールが完成しました!

5)澤井さんありがとうございました!

こうして出来上がったラミーコットンストールですが、澤井さんからコメントをいただきました!







「大窪さんが作る糸は今まで触ったことのない独特の感触と物性を持っていて、織り上げるのになかなか苦労しましたが、この素晴らしい糸に負けないストールを作ることができました。ぜひ多くの方に手にっとっていただきたいですね」




【最後に】

 最後までお読みいただきありがとうございました!製作者の大窪です。

 ブランド名「こころばせ」は古語で、こころのゆきとどくこと、たしなみあることを意味しています。私が作る日本製繊維製品もかくありたしと心がけています。

 これまで培ってきた繊維開発の知見とアイデアを、日本中の繊維工場の力を借りて本当の意味でのメイドインジャパンを実現していきます。私が主催する「こころばせ」ではこれからも、今回のラミーコットン ストールのような「全日本繊維産業協業プロジェクト」を全力で展開していこうと思っています。

日本製の良品を愛する人にラミーコットン ストールを是非使っていただきたいです。